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体験・遊び 宮下畳製造所

カワイイ畳の魅力を発信。伝統技術に新たな発想を取り入れる懐の深い畳の世界|宮下畳製造所

宮下畳製造所

広島県呉市川尻町東3-10-35

水玉、ストライプ、市松模様、花柄、だるま柄。どれにしようか迷ってしまう…。何を選んでいるかというと、ピアス。どれもカラフルでかわいくて、身に着けたときを想像するとウキウキとしてきます。この材料は皆さんもきっと、家の中などでたびたび目にしているもの。なんと畳の縁です。今や畳の縁も畳表も、洋服のように選べます。宮下畳製造所は、確かな技術と新たな発想で畳の魅力を発信。畳小物作りも体験できます。

宮下畳製造所

同じ縁でも柄や色の見え方が違ってくる、世界に一つの畳小物

 

「他にもいろいろ作っていて…」と見せてくれたのは、畳の縁で作ったイアリング・ピアスのほか、ヘアゴムやヘアピン、ポーチ、ペンケース。同じ縁でも使う部分によって柄や色の見え方が違う。どこをどう使うか、何と組み合わせるかはその時のインスピレーションだそうだ。「だから、ほぼ世界に一つ。同じものを作ってくださいって言われる方が難しいんです」。宮下畳製造所の畳職人である宮下鉄矢さん、畳小物を作る妻の浩恵さんは笑う。

 

小物づくりは、主に浩恵さんが担当。畳作りの手伝いがないときに作りためている。「5個から選ぶより、50個から選ぶ方が楽しいと思うから」。
できた作品は、ホームページと、川尻町小用の「ボヌールアヴ」や安浦町の「豆ナ茶屋」、倉橋町の「シーサイドカフェアルファ」でも販売。浩恵さんと同年代の30、40代、また和を好きな人から注目を集めている。もちろん、和装にもよく似合うので年配の方にも人気だ。「小物を見たお客様から、こんなかわいい縁があるなら和室を作ればよかったって言ってもらいました」と浩恵さんもうれしそうだ。

 

100年を超えて畳作り。口伝えでお客様とつながってきた

大正元年創業、初代から100年を超えて畳づくりを続けてきた宮下畳製造所。鉄矢さんで4代目となる。

お客様は主に一般家庭で、お寺、神社など歴史的な建物の畳にも携わり、畳の新調や表替えなどのメンテナンスを行う。「おじいちゃんの時代から知っています」「宮下さんは畳を作るのが上手だと聞きました」など実績の口伝えでお客様とつながってきた。注文が何十年ぶりということもざらだ。

 

鉄矢さんが畳職人になろうと思ったきっかけは、家業を継ぐ目的ももちろんのこと、高校生のころに観たテレビ番組。手縫いで畳を作る姿を観て「かっこいい!」と思ったそうだ。高校卒業後に京都にある京都畳技術専門学院に進み、同時に畳屋に弟子入り。住み込みで働きながら学び、腕を磨いた。川尻に戻って実務経験を積み、平成17年10月に国家資格の一級畳製作技能士(厚生労働大臣認定)を取得。針と糸、包丁での手作業・手縫いで畳を作る技術を習得している。現代の畳作りは機械を使うものが主流となっているが、鉄矢さんは今でも茶室の炉など機械では難しいところは手縫いで仕上げる。

 

畳作りは「一に寸法、二に角」

畳は畳床、畳表、縁で作られている。畳床はわらを圧縮したもの、畳表は一般的にはい草から作られるが、近年は和紙やナイロンなどさまざまな材料が使われるようになった。宮下畳製造所では国産の畳表は全国一の生産量を誇る熊本県産のものを扱い、その中でもその時の質の良いものを仕入れる。中国産の畳表も、より高品質のものを目利きする。

 

縁はまるでリボンのように種類豊富。織物だけでなくプリントもあるため、色や柄のバリエーションは数えきれない。畳用に約60種類、小物づくり用にも約50種類ほど常備している。伝統柄から、水玉や花柄などあれこれあって楽しい。続々と新しいものが登場している。

 

鉄矢さんは畳屋の畳職人として、これらのそれぞれの専門業者から仕入れて畳を作る。まずは部屋の寸法を測り、それに合わせて畳床、畳表をカットし、縁を縫い付ける。「一畳の大きさは同じように見えて、実は一枚一枚違います」とのこと。その理由は、家には歪みがあったり、柱のある位置が家ごとで違っていたり、茶室の場合は炉が入る加工をすることもある。その部屋の寸法にピタッと合わせることが重要で、ミリ単位でもずれがあると畳と壁の隙間や、畳の床面がガタガタになってしまう。畳の角を直角に折り曲げるのも難しい。熟練の技の積み重ねで美しい畳が完成する。

 

「畳づくりは、一に寸法、二に角(すみ)」と大将からの教えを守る鉄矢さん。18歳から畳に関わり、職人歴は20年を超えた。それでも「まだできることがあるはず。自分なりの100%を目指しています」とよりよいものを求め続けている。

 

あの時を一瞬でよみがえらせる、あの香りや弾力

この仕事にやりがいを感じる瞬間は、畳の新調や表替えをしたお客様に、「部屋が明るくなってうれしい」「い草の香りに癒される。ここで寝たい」と喜んでもらえた時だ。

畳表のいぐさの香りによるリラックス効果や、集中力を高める効果も注目されている。弾力性があるので子どものバランス感覚を養うことができ、足音などの防音性能も高い。調湿作用、断熱性、畳のメンテナンスで畳を上げることは家の躯体の持ちをよくするなどなどさまざまなメリットが広く知られている。それでも、和室のある家は減少傾向にある。畳屋も減り、後継者に悩んでいるという。鉄矢さんのもとにも、店を閉めた畳屋からお客様を紹介されることも増えてきている。

畳にごろんと横になると、本当に気持ちがいい。い草の香りをかいだ瞬間、実家で安心しきっている自分の姿や旅館での楽しい思い出がよみがえる人は多いのではないだろうか。
「畳小物でかわいい縁を知ってもらうことをきっかけに、若い人にも畳に興味を持ってもらって、畳っていいじゃんって思ってもらえたらうれしい」と話す。

 

世界に一つの畳小物を身に着けて

 

小物づくり体験させてもらった。浩恵さんのアドバイスを受けながら、縁を選んでカットして、グルーガンで形を固定してリボン型のキーホルダーが完成。あまりの可愛さに感動して、ピアスも購入してその場で身に着けた。

 

その日は、会う人会う人に「これ、畳の縁で作ったアクセサリー」と言っては驚かせた。だって、世界に一つしかないアクセサリーを持っているなんて、うれしくてたまらない。

 

日本の伝統技術でありながら、既存の枠にとらわれず新たな素材や技術を取り入れて発展するお二人。お二人の柔らかい笑顔と、まだ知らない畳の魅力に触れてみてください。

 

体験内容

◆畳のヘリでキーホルダー作り
リボン型、ネクタイ型を選べます。縁は約50種類から選べます。
所用時間は約10分、1個440円

◆小畳作り
20㎝×30㎝の小さな畳を作ります。畳表(和紙)と縁も選べます。
立てかけて写真たてに、小物置きに。
所要時間は約60分、2200円

いずれも2〜5名で受付。事前に電話、ホームページ、インスタグラムのDMで。

名称 宮下畳製造所
お問合せ 0823-87-2120
営業時間
定休日
駐車場
ウェブサイト https://tata38.jp/
所在地 広島県呉市川尻町東3-10-35
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