この島に来れば出会いがある、何か発見がある。そんな心のお守りになるカフェ。|Seaside cafe ALPHA
Seaside cafe ALPHA
広島県呉市倉橋町才ノ木576-7
何も考えずに楽しくおしゃべりしたいとき、じっくりと考えごとをしたいとき、何かいいアイデアに降りてきてほしいとき。場所をかえて気持ちを切り替えるという人は多いと思います。あそこに行けば何とかなる!そんな場所があると心強いですよね。さらに、美味しいコーヒーがあれば言うことなし。美しく穏やかな瀬戸内海を臨む「seaside cafe ALPHA」は、まさに心のお守りになるような場所なのです。
昭和の喫茶店をカフェに、海、島、旅の本がそろう
広島市内から車で1時間15分ほどの倉橋島桂浜。砂浜にせり出すように旅館シーサイド桂ヶ浜荘が建つ。昭和47(1972)年創業、当時から変わらぬ瀬戸内の景色の中でゆっくりとくつろげる旅館だ。大広間や大浴場を備え、夏は海水浴客、冬は牡蠣料理を目当ての観光客や宴会客でにぎわう。
そんな旅館の1階に約30年前、喫茶アルファがオープンした。オレンジ色の照明のもと、どっしりした什器が配置された古き良き昭和の喫茶店。ところが1年ほどして店主が亡くなり閉店。30年ほど閉まったままになっていたその場所に2016年、ブックカフェ「seaside cafe ALPHA(シーサイドカフェアルファ)」が誕生した。
海を一望できるカウンター席やテーブル席、深く腰掛けて読書を楽しめるソファ席。思い思いに過ごせる。気になるコーヒーは、サイフォンで淹れてくれるスペシャルティコーヒー。完全無農薬で栽培する「八女茶」もおすすめとのこと。もちもちのクランペットも美味。クランペットは卵不要のイギリス式パンケーキだ。週替わりランチもあるそうだ。
カフェにある本は、渋谷にあるFlying Books(フライング・ブックス)のブックディレクター山路和広氏が選んだもの。実際に倉橋にきてもらい、この場所に合う本を選んでもらったそうだ。海、島、旅がキーワードの本が目立つ。何気なく眺めて、タイトルや表紙のデザインでピンときた一冊を手に取ってみよう。波の音を聞きながら読書に没頭できる。
倉橋島の魅力を発信する拠点に
カフェを運営するのは天本雅也さん。横浜から奥様の実家のある倉橋島に移住した。結婚前から倉橋には遊びに来ていたそうで、倉橋の穏やかな空気がとても気に入った。しかし、倉橋島の人口は減る一方。島の元気が少しずつ失われているように感じた。「倉橋に人を集めるには発信力が必要。倉橋を広報するような場が必要だ」。そう感じた天本さんは旅館シーサイド桂ヶ浜荘の喫茶を改装し、カフェを開店した。
取材に伺った平日の午後。地元の女性の常連客、ドライブで立ち寄った二人、サイクリストと思われるスポーティーな装いの人が入り混じる。ノートパソコンを開いても違和感がない。「倉橋の人が集まる場所にもなるといいなと思って」という願いも叶えている。
島全体がオフィス、海に山に温泉も。アイデアが降りてくる島
旅館もカフェも、ワ―ケーションやコワーキングスペースとして利用できる。館内はフリーWi-Fi完備、リモート会議も可能だ。スクリーンも準備できる。
旅館では以前から、企業のオフサイドミーティングやクラブの合宿の場としての利用も提案してきた。ある企業はグループごとで旅館の客室、カフェ、テラス席、砂浜に椅子を持ちだしてミーティングを行った。桂浜全体を使って新しい働き方を試すことができる。
「アイデアを思いつくには、桂浜は最高なんですよ。海もあるし山もある。温泉もありますから」と天本さん。椅子やござも貸し出しているので、砂浜でパソコンを広げてもいい。SUPで海に浮かでいると、無音になって考えごとに集中できそうだ。ボードのレンタル(3時間3300円)もある。希望すれば簡単にSUPの乗りかたもアドバイスしてもらえる。倉橋島の中央にある火山は標高約400m。1時間もあれば頂上に到着できるとのこと。倉橋島を一望すれば、視界が広がっていいアイデアが浮かんできそうだ。歩いていける場所に「天然温泉くらはし桂浜温泉館」もある。偉人がアイデアを思いつくのは、意外な場所だとよく聞く。倉橋島にいると波の音がいつも聞こえる。静かに五感を刺激してくれる。
島自慢の商品を集めた「倉橋ZIMAE」、旅館内にショップも
コワーキングスペースを運営しながら、地域づくりにも精力的だ。天本さんによると、倉橋島の人口は年に約150人減っているという。「稼げる地域にしなければならない」と感じた天本さんは、それまで捨てられてしまっていた未利用魚や摘果した野菜などの食材を活用して、地域おこしメニュー「倉橋島お宝フリット」を開発。地元の生産者や飲食店にもお金が落ちる仕組みを考えた。それ以来、生産者や地元の企業から新商品の開発やリブランディングの相談が寄せられるようになった。倉橋の美味しいものや伝統のものをもっと多くの人に知ってもらうおうと、旅館内でお土産ショップ、オンラインストア「倉橋ZIMAE」を始めた。
「倉橋ZIMAE」では、島の生活に古くから根付いている味噌や醤油、とれすぎた魚は干物にして近所に配っていたものなどが集められている。おしゃれなデザインを装うことで、商品との接点を増やしている。「いずれは地域商社のような形にして、倉橋島を経済的に自立できる地域にしていきたい。倉橋島の子供たちが外に出たとき、いいところから来たねって言われるようにしたい。実はポートランドのような町を目指しているんです」と教えてくれた。
つなぐことで新しい魅力を生み出していく
そういえば、カフェの本棚に「ポートランド」と書かれた雑誌が並んでいる。開いてみると、ポートランドとはアメリカ西海岸にある人気都市とあった。コミュニティーを大切にしながら、自分らしさにも寛大。クリエイティブ精神にあふれる街だそうだ。「倉橋島には海も山も温泉もあるけど、一番の魅力はやっぱり人。私もここにいることでいろんな人に会えました」と振り返る。
倉橋島に来れば出会いがある、何かの発見がきっとあるはず。誰かと一緒に、一人でも、たびたび訪れてほしい。
体験内容
◆SUPレンタル 3時間3300円(税込)
◆旅館のワ―ケーション利用 ドロップイン3時間1100円(税込)、6時間2200円(税込)
個室利用は相談を(要予約、有料)
利用時間は10時~17時、定休日は水・木曜日。宿泊や宴会で利用できない日もあるので事前に問い合わせを
名称 | Seaside cafe ALPHA |
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お問合せ | 0823-53-1311 |
営業時間 | 8:00~17:00 |
定休日 | 水・木曜日 |
駐車場 | 有 |
ウェブサイト | https://seasidecafe-alpha.com/ |
所在地 | 広島県呉市倉橋町才ノ木576-7 |
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