感動したら立ち止まる、好奇心に任せて進んでみる。自転車でまだ知らないとびしま海道へ。|ビルックス株式会社
キャンプ&コテージ梶ヶ浜(呉市指定管理者:ビルックス株式会社)
広島県呉市下蒲刈町下島839-16
「車と自転車では見える景色が違う」。そう話すのは、下蒲刈町に8年前に移住した高島俊思さん。元地域おこし協力隊で、現在はとびしま海道一帯を元気にするためのイベントなどに取り組む一人です。自転車に乗れば、絶景に出会ったら立ち止まって眺めたり、車ではいけない路地に入り込んだり、立ち話をしたりも自由自在。あなたがまだ見たことのない景色、新しい出会いの場所へ、自転車が連れて行ってくれます。
パラオのような喜びを求めて下蒲刈町に
「下蒲刈町には信号が一つなんです。パラオと似てるんですよ」
海を眺めながら教えてくれたのは、高島俊思さん。
高島さんは愛知県出身。南国パラオでツアーコーディネーターを6年間、2015年に地域おこし協力隊として下蒲刈町にやって来た。パラオのような自然の中で暮らすことに喜びを感じて、地域おこし協力隊、海、田舎暮らしというキーワードで検索し、ヒットしたこの町に夫婦でやって来た。現在は、株式会社 Alii Tobishima(アリートビシマ)という会社を興し、呉やとびしま海道の観光やスポーツイベントでの活性化に携わっている。
パラオで生活しているとき、日本では当たり前にしていたことが、自分にとっては大きなストレスになっていたことに気づいた。そのうちの一つが信号。交通ルールを守る大切さはもちろん理解しつつ、信号がない暮らしの喜びと気持ちよさを実感して以来、当たり前だと思っていることを見直し、「自分が大切に思うことを大事にしよう」という気持ちが強くなった。
親代わりになってくれた島の人たちとの出会い
下蒲刈町に来てすぐ、夕方になると島のおじちゃん「しげちゃん」が連絡もなく家にやって来た。焼酎をもって立っている。「(家に)あがらせんさい」と、次の日、その次の日も続いた。高島さんはしげちゃんに真意を尋ねたところ、「あんたらの親になろうと思っとるんよ。なんでも話せるなんでも頼める親になるんよ」。まだ外の人だった高島さん夫婦を心配してくれての行動だったことが分かった。「困った時に遠慮なくいえる関係性をつくってくれました。下蒲刈町に住んで8年、心地よくさせていただいています。子供たちにとっては、おじいちゃんがもう一人できた感じです」
下蒲刈町での暮らしに溶け込みながら、地域おこし協力隊の3年間の任期が満了。島の活性化のための活動や個人的に取り組んできた自転車やマラソンなどのスポーツを続けるため、自身が代表となって会社をつくった。
島暮らし4年目の2018年12月に、100㎞マラソン「とびしまウルトラマラニック」を開催した。安芸灘とびしま海道の7つの島を巡り、瀬戸内海の絶景と御手洗地区の歴史に触れ、地元の特産品を堪能しながら、とびしまの自然・人・グルメを満喫してもらう大会だ。
「島の人たちは、100㎞を走る大会と聞いて驚いたでしょうね。ぼくが宇宙人のように見えたんじゃないかな。でも、やりんさいや、と言ってくれた。しげちゃんのように、親のような絶対的に信頼できる人がいてくれるのはありがたいです」と話す。
島の人を驚かせたイベントは、参加者の8割が県外という島内外の交流人口を増やした。
翌年の2019年も開催したが、その後コロナ禍となり中止。この度3年ぶりに2022年12月に開催。481名ものエントリーがあった。
8年前は500人が集まるイベントなんてできるわけないと思っていたと言う。最近になってやっと、イベントを実現するための道筋がぼんやりと見えるようになってきたそうだ。
「小さなイベントから始めて、協力してくれる人がいて、自分の会社をつくらせてもらって、自分にできること、できないことも見えてきた。一つひとつクリアして少しずつ成長できている実感がある。未だに胃は痛くなるけど、経験を重ねると別の場所に行ける感じが面白い」と島でのチャレンジを楽しんでいる。
2022年の大会では、水分や栄養補給をするエイドステーションを14カ所設けた。島のお母さんたちの協力のもと、島野菜味噌汁、カレー、鯛汁とおむすび、郷土料理の久比うどんが並んだ。
「島のお母さんたちの優しさに触れてほっとして、おいしいものや景色に勇気をもらって、初めての100㎞を完走してほしい」と高島さん。そして「この地域を知ってもらい、この島いいなと思ってもらって、最終的に移住してもらえたら最高。イベントを通じて、とびしま海道の観光振興につながるとうれしいです」と話す。
自転車でとびしま海道の魅力を満喫
100㎞走るとなるとある程度の体力と精神力が必要となりそう。でも、サイクリングなら気軽にできそうだ。とびしま海道は平坦な周回道路が多く、交通量も少ない。世界中からサイクリストが集まるしまなみ海道よりも距離も短い。スポーツサイクリングを始めたばかりの人にも走りやすい。
「車から見る景色と、時速10㎞程度の自転車で見る景色は違うと思う」と高島さんは言う。素敵な景色に出会あったら立ち止まって眺めてみる、細い道を見つけたら好奇心に任せて進んでみる。波の音に耳をすませたり、潮の香りを感じたり。みかん畑で作業する島の人たちを眺めていると「食べていきいんさい」と声を掛けられることもあるかも。自転車だからこその島の楽しみ方だ。
レンタサイクルを観光、移動手段としての利用も
高島さんが所属するビルックス㈱では、下蒲刈町の梶ヶ浜海水浴場のそばにあるコテージ梶ヶ浜を管理し、レンタサイクル事業もしている。坂道をぐいぐい進む電動アシスト自転車から、家族連れのレジャーにも便利や子供用自転車、ミニベロ、クロスバイクなど専門的な自転車まで全8種類あり場面に応じて選べる。
利用にはレンタサイクル専用電話に事前に予約が必要だ。ホームページをチェックし、「予約専用電話(080-2927-2504)」へお問い合わせを。目的地や体力に応じて適切な自転車選びやコース設定のアドバイスもしてくれる。
配車・乗り捨てサービス(1回1台1000円)を利用すれば、とびしま海道での時間をより充実させ、効率よく楽しめる。例えば、JR仁方駅で自転車を受け取り、とびしま海道をサイクリングで楽しみ、岡村港へ。自転車を乗り捨てて、航路で今治へ移動も可能。サービス利用可能場所がいくつかあるので、レンタサイクル専用電話にお問い合わせを。
コワーキングスペースで出会いの幅が広がった
ビルックスの社員として、コテージ梶ヶ浜やコワーキングスぺ-ス、キャンプ場の管理も行う。コワーキングスペースができてからは、観光や自転車、スポーツ以外の利用で島を訪れる人が増え、出会いの幅が広がったそうだ。「自転車も含めて関係人口を増やし、それだけで終わらず、地域として新しい事業につながるといいなと思っています」
海のキラキラを守るため、できることで駆けずり回りたい
休みの日は子どもと自転車で島を巡ったり、山に登ったりして過ごす。現在、未就学児のお子さんが3人、おなかの中にもう一人がいるとのこと。「僕たち夫婦が気持ちいいと思っている海のキラキラや自然の香りを、子供たちも気持ちいいと感じてくれている。そんな環境で子育てできているのがうれしいです」と島暮らしの魅力を話してくれた。
「じっとしていたら島の活性度が低下していきます。動いていたら、僕たちを応援してくれる人がいる喜びや、誰かが何かを感じてくれてこの島に興味をもってもらえた喜びを感じることができます。島にはなじんだけど、島の外からきたものとして島の人にはできないこともできているかもしれない。僕たちが好きでいる場所を残すために、できることをして駆けずり回りたいですね」と波のきらめきを眺めながら語る。
さあ、自転車に乗って、海のキラキラと自然の香りを楽しみにいこう。まだ見たことない景色、まだ知らない物語を探しに。
体験内容
レンタサイクル・各種イベント・コワーキングスペースなど
※下記は呉市指定管理者のビルックス(株)が管理する「キャンプ&コテージ梶ヶ浜」の情報です。レンタサイクルに関するお問い合わせは前述の専用電話へ。各種イベント、コワーキングスペース、コテージ、キャンプに関するお問い合わせは「キャンプ&コテージ梶ヶ浜」までお願いします。
名称 | キャンプ&コテージ梶ヶ浜(呉市指定管理者:ビルックス株式会社) |
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お問合せ | 0823-70-8151 |
営業時間 | 8:30~17:00 |
定休日 | なし |
駐車場 | 有(約100台) |
ウェブサイト | https://kajigahama.jp |
所在地 | 広島県呉市下蒲刈町下島839-16 |
※マップアプリはマークで起動
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