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体験・遊び 榎酒造株式会社

音戸の暖かく柔らかな気候のように優しさに溢れた酒蔵|榎酒造

榎酒造株式会社

〒737-1205 広島県呉市音戸町南隠渡2-1-15

暖かく柔らかい気候と潮風が香る呉市音戸町の酒蔵には、その柔らかな気候のように人柄の優しい榎さんの造る日本酒「華鳩(はなはと)」がある。

榎酒造株式会社

日本でも珍しい“貴醸酒”を醸造

明治32年から120年続く酒蔵「榎酒造」。銘柄は「華鳩」と「清盛」。水の代わりに日本酒で醸す、日本酒の中でも珍しい「貴醸酒」を醸造販売している。国内外からも人気があり、あのサッカー元日本代表の中田英寿さんもその珍しさに訪れた。

貴醸酒のことを知っている人なら、「貴醸酒といえば華鳩。」というくらい有名でその認知度も高い。さぞ大きな酒蔵で製造していると思いきや、酒造は仰々しいものではなく、住宅街に馴染むようにひっそりと佇んでいる。
「うちのお酒はド派手ではないのですよ。」そう言って優しい笑顔で話すのは4代目蔵元の榎俊宏さん。先代の父親から蔵元を引き継ぎ、現在は姉の真理子さんと二人三脚で営んでいる。

 

酒造りの工夫

日本酒は本来、寒冷な地域での製造が好まれるが、温暖な地域で酒造りを行うこの蔵では、音戸の水の綺麗さを糧に、寒冷な地域にも負けないような冷やす工夫をしている。

その作業は実に容易ではない。仕込み水を凍らせた氷を使用したり、仕込桶には冷水が周りを流れることで冷たい環境を作り出すなど、寒冷地域にも勝るとも劣らない日本酒の製造を可能としている。もちろん、日本酒の味を大きく分ける蒸しや麹造りもその年の環境や米の出来など全てを観察し、その年のお米と水でできる最高の日本酒造りを行うのは長年培ってきた杜氏の経験が可能とする技である。

 

貴醸酒醸造のきっかけは先代のフロンティア精神

貴醸酒は、水の代わりに日本酒で醸す特別な日本酒。その色は琥珀色に輝き、とろりとした飲み口で、口の中では甘い風味と豊かな香りが広がる。日本酒度(甘さを表す単位。糖分が多いほどマイナスを表す。一般的な日本酒は±5程度。)が–50前後と極甘であるにもかかわらず、その後口はすっきりとしているのが特徴である。

現代では、お酒の幅もジャンルも豊富に存在し、個人の好みに合わせて嗜む時代であるが、先代の頃のお酒(特に日本酒)はそうではなかった。日本酒=辛口が当たり前の辛口全盛期。日本酒が甘いだなんて誰1人として想像することもなかった。

では、そんな時代になぜこのような甘い日本酒「貴醸酒」ができたのだろうか?

始まりは先代、3代目蔵元の榎徹さんだった。徹さんがヨーロッパでのワイナリー視察で「貴方達も酒造家ならとびきりのお酒を飲ませてあげましょう。」と現地の方にいただいた最高級の貴腐ワインは甘口だった。そこの一カ所だけではなく全てのワイナリーで最高級と言って出すお酒は、甘い貴腐ワインであった。それから徹さんはいつかこんな甘いお酒を造ってみたいという気持ちが芽生えるようになった。

そんな時であった。赤坂の迎賓館にフォード大統領やエリザベス女王を招いた晩餐会。迎賓会の通例では食事はフレンチで乾杯は貴腐ワイン。しかし、当時の醸造試験場は日本に招いているのだから日本酒でおもてなしをしたい!ということで貴腐ワインのように高級でコクのある日本酒を造りたいと貴醸酒の開発がなされた。貴醸酒製造の論文を読んだ徹さんは、「誰も飲んだことがない新しいお酒を造りたい!!」と立候補。そこに手をあげたのは榎酒造だけで、日本で初めて貴醸酒を造ることになった。

 

今や世界で認められる貴醸酒

先代から造り続ける貴醸酒「華鳩」は、今や世界でもそのおいしさが認められている。IWC(インターナショナル ワイン チャレンジ)古酒の部では、2008年の出場以来、出場するほとんどで金賞を受賞。今や華鳩は「世界の華鳩」となっている。

その背景には、先代から受け継ぐ変わらないフロンティア精神で今もなお様々なお酒の改良に挑戦し続ける俊宏さんの探求心と、真面目で丁寧な作業を常に心がけるたゆまぬ努力がある。

榎酒造

 

疲れた時に飲んでホッとやすらぐ、そんなお酒を目指して

ずっと変わらずに引き継がれ続ける「いいものを造りたい。」という思い。
お客様の「美味しい。」その一言のために少ない人数でも決して手を抜くことはせず、一生懸命丁寧に思いの込めた作業が引き継がれている。
それに加えて俊宏さんが意識しているのは

「疲れた時に飲んで『ホッとやすらぐ』お酒」。

派手さはないけれど、疲れた時に一口のみホッと一息つくことができる。
そんな人に寄り添うお酒造りを目指している。

 

榎酒造を楽しむ酒蔵見学・試飲体験

酒造見学体験ときき酒体験の2つの体験を行うことができる。(2020年10月現在)

酒造見学では、音戸の気候と共に歩んできた榎酒造の歴史や酒蔵の見学を行うことができる。珍しいオーク樽や貴醸酒造りを見学できる。

きき酒体験では、約10種類の日本酒(貴醸酒を含む)を試飲することができる。好きな日本酒が見つかること間違いなし。ぜひ、自分の好みの日本酒を見つけて帰っていただきたい。

 

酒蔵の体験や試飲で華鳩を知ってほしい

体験は全て無料で行っている。酒造見学も試飲も、なんと蔵開きまでもだ。
「実際に飲んでもらうことが一番うちのお酒を分かってもらえると思います。貴醸酒というお酒自体、もっと言ったら華鳩自体を知らない方がほとんどです。だから、知ってもらうきっかけになってくれたら嬉しいです。」
さらには、
「これを飲んでもらえたら絶対に買って帰ってくれるんです。」とお酒に対する自信と誇りが思わず滲みでる笑顔の俊宏さん。
地域に根付く誇れるお酒を目指し、みんなに愛されるお酒を一生懸命真面目に丁寧に造る自信を感じた瞬間だった。

どのお酒も口当たりが優しく、飲むと香りが全体にふんわりと広がっていきその香りを体全身で感じた後に思わずホッと息をつく。
お酒を飲むと暖かくなごやかな瀬戸内の気候が思い起こされ、優しい俊宏さんが杜氏さんや蔵人さんと一生懸命にこのお酒を造る。そんな情景が見えてくるようだ。

 

体験や見学は予約が必要

参加費自体は無料だが予約が必要だ。時期によっては蔵に入れない場合もある。
現在は新型コロナウイルスの拡大防止のため少人数のみの受け入れを行なっている。
体験希望の方は、ぜひお電話又はHPのお問い合わせフォームでご予約下さい。

 

名称 榎酒造株式会社
お問合せ 0823-52-1234
営業時間 平日:09:00 ~19:00 土曜:10:00~18:00
定休日 日曜祝日
駐車場
ウェブサイト https://hanahato.ocnk.net/
所在地 〒737-1205 広島県呉市音戸町南隠渡2-1-15
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